月別アーカイブ: 2018年9月

特別レッスン「クレイアニメーション編 報告①」

おおきな木では、来春に卒業する子が在籍するクラスにこの時期、毎年ゲスト講師をお招きした特別レッスンを企画しています。

様々な大人がいること、自分達の興味のあることの先に、どんな仕事や生き方があるのか…。その一部を見せたいという思いから2年前から始めました。

今年は一つのクラスに、岡江真一郎さん(映像作家 / アニメーション作家 / 音楽家)をお迎えしました。
Eテレのアニメーションを一部担当していたり、地元川口市のメディアセブンでもお仕事されておられるので、こども達にとっても、身近に感じられるようです。

今回は、クラスのみんなが興味ありそうなクレイアニメーションの制作をお願いしました。
そして、岡江さんの提案で「川口の民話」をテーマにしようということで、夏休みにおじいさんおばあさんに川口に昔から言い伝えられるお話や、地域にまつわる話をリサーチしてきてもらいました。
地元を知ることで、少しでも子ども達が地元に興味をもったり、愛着をもつ切っ掛けになればいいなと…。

早速9月から特別レッスンが始まっています。(計6回を予定)懐かしのパラパラ漫画をつくってアニメーションを理解してみたり、簡単に粘土を形作ってコマ撮りを動きの確認をしてみたり…、楽しすぎて毎回レッスンがあっというまです。

次回はいよいよスト―リーづくり。
完成後はアトリエ展にて展示上映します!また時々経過報告します!

■ 岡江真一郎さんHP http://shinichirookae.com/

□ 川口市メディアセブン http://www.mediaseven.jp/

【子育てをしている親、多感で多様なこどもと関わる教育関係者、また、人と関わって生きている私達だれもが、ここから学ぶべきものがある】

先週、Antenna Books & cafeココシバで開催された川口市にある障害者福祉施設「工房集」の「ここからつながるアート」展とトークイベントに参加してきました。

工房集さんのトークはもう何回も聞いていますが、今回は、これらの魅力的な作品達がどのようにして生れてくるのかに重点が置かれつつ、そこから見えてくる「彼らを取り巻く環境」こそ、今、我々が求めているものではないだろうか…と感じたので、ここに記することにしました。
「彼らを取り巻く環境」と書くと
社会的な問題というのも同時に浮かぶのですが、今回は、彼らを「サポートする人達(彼らと共に生きる人達)」について書こうと思います。

*工房集についての詳細はHPをご覧いただき、ここでは割愛します。

最近目にする機会が増えいる、障害のある方が描く絵や作品(アール・ブリュット(仏)やアウトサイダー・アート(英)と呼ばれています。)
それらの魅力的な作品は、どのような環境のなかから生れてきたのだろうか?
私が福祉に関心をもつ切っ掛けとなったのは、もう15年程まえになりますが、彼らの作品が切っ掛けでした。
工房集には障害者福祉施設には珍しくgalleryがあります。そこに展示されている作品から、こみ上げてくる感動と共に、なにかもう自分の無力さで崩れそうになるほどの衝撃をうけたことをハッキリと覚えています。

色の複雑な重なりや、無数の線の集合、絡み合った糸や、ビッシリはめ込まれた無数のガラスの欠片…
そんなシンプルな行為の、ともすると軌跡のようなものから、ただならぬモノを感じ取ってしまったのです。

そこで、おそらく多くの方が思われるのではないかとおもうのですが、これらの作品は、はじめからこのような独特なスタイルで生れてくるのか?ということです。

集のHPにも載っていますが、既存の仕事に合わなかった重い障害をもった人達が集められたところから、工房集が始まります。
彼らにどんな仕事ができるのだろう。人生の中でも大半を占める仕事の時間。少しでも彼らの生きづらさから救えるものとは何だろう…?と模索しつづけた施設の職員たちは、ある日、目を輝かせてイラストを描く姿を目撃する。
「これ(絵)を仕事にするしかない!」
その後、あらゆる素材を提案し、彼らの一瞬の目の輝きを逃さず、リアクションを読み取りながらの長年の年月をかけて彼らにとって最適なスタイルを見つけ出してゆく…。

当日のトークでは数名の方を例に挙げられていました。
ある人は、絵を描くことは好きではなかったが、文字を描くことには反応した。職員は書をすすめた。毎日四六時中隣に座って紙を用意し、本人が文字を描くを繰り返していた。ある時、職員がすこしばかり席を外し戻ってくると、同じ紙に文字が何重にも重ねて書かれていた。
「これは面白い」とおもった職員は、こんどは墨ではなくペンを渡した。そして、破れにくい紙に変えた。彼の興味や関心事に心を寄せ、彼の動きや反応を敏感に捉えてゆく…。そうやって生まれてきたのが、文字の集積作品となる。彼の作品 → http://kobo-syu.com/a…/%E9%BD%8B%E8%97%A4%E8%A3%95%E4%B8%80/

また、ある人は周りがどんどんと自分のスタイルを見つけて作品作りに夢中になっていく姿に焦りを感じ、もがきつづける。自分にはできない。でも自分も生きがいをみつけたい。。そんなもがき続ける姿に寄り添い、ときにはぶつかり合い、問う「あたなたは、どうなりたいのか?」と。そんな彼女の作品 → http://kobo-syu.com/a…/%E6%B8%A1%E9%82%89%E3%81%82%E3%82%84/
(その人の個性や、障害のタイプにもよって、関わり方を考えているとのこと)

これらの話しは、ほんの一部にしか過ぎないのですが、
彼らの個性や魅力を引き出しているのは、

彼らをサポートする職員たちの、障害をもった彼らの幸せを常に願い、共に喜び合い、また「私達のほうが、彼らから生きる喜びを教えてもらっているんですよ。」と思わず会話からこぼれてしまう程の、心からの繋がりや信頼関係にあると思うのです。

そして、この関係は、障害を持った方と施設の職員だけの話ではなく、子育てをしている親、多感で多様なこどもと関わる教育関係者、また、人と関わって生きている私達だれもが、ここから学ぶべきものがあると強く思ったのです。

話しをうまくまとめられておりませんが、これらの話しを詳しく、また読みやすく纏められた本もありますので、おススメします。数時間あれば一気に読めます。後半は、美術の専門的な内容も書かれていますが、とてもわかり易くそして、普遍的です。

以下の場所で購入ができるようです。

■工房集   http://kobo-syu.com/
□さわらび舎 http://www.sawarabisha.com/
■Antenna Books & cafeココシバ http://cocoshiba.com/